2007年04月06日

世界でもっとも美しい10の科学実験

実験で知る科学史。

科学史(特に物理学)に残る著名な実験のうち、物理学誌の読者投票で選ばれたもっとも美しい実験のベスト10を式なしで説明し、美しさのポイントを絵画の鑑賞のようにやさしく解説している。


科学法則はいかにして実験されたのか。

科学者たちは実験のことを時に「美しい」と形容する。

ぼく自身も科学者の端くれだが、確かにそうだ。

美しい実験、美しい結果といった言葉づかいに違和感はない。


著者は、哲学者・科学史家という自分の立ち位置から、科学者たちとの対話を通して、その「美しさ」の意味をくみ取り、10の「美しい科学実験」を通して、「実験にとって美しさの意味とは何か」「実験に美しさがあるのなら、それは美にとって何の意味があるのか」という2つの問いに答えようとする。

もともとは雑誌「Physics World」での連載であり、取り上げられた10の実験はアンケートに基づいて選ばれている。


扱っているテーマは、エラトステネスの地球の外周の長さを求める実験、ガリレオがピサの斜塔で落下の法則を確認した実験、ガリレオが慣性の法則を確認した実験、ニュートンがプリズムで確認した光の分散の実験・・・・・・・など等。



おそらく実験とは、科学者にとって自分自身との対話であり、自分自身の哲学が具現する瞬間でもある。

だから、実験を経た後の科学者の言葉は、その深さと重さを増す。

訳者もあとがきに書いているが、ニュートンの「光は屈折するときにその色を変えない」という言明に、この書物の中で出逢うとき、理性ではなく感性を揺さぶられ、涙すらあふれてくる。


科学が、芸術同様に人間の感性に訴えかける営みであることを著すことに、著者は成功している。

10の実験について語った各章を結ぶ間章もとても興味深い。

取り上げている科学実験は、ほとんどが日本では高校までに学んだものだが、教科書で法則を実証するためのものとして記述されている実験像とは異なる、生の科学者の肉声が聞こえてくるようだ。



訳者あとがきで、青木薫さんが、原子の二重スリット実験の写真に涙が出たと書いているが、まさにそのとおりだ。



世界でもっとも美しい10の科学実験




世界でもっとも美しい10の科学実験






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posted by ホーライ at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 12歳からの科学者必読本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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